「……何でだよ」
一呼吸置いてエドはエンヴィーに問い返す。何故と、聞かずにはいられなかった。
お互い幸せになる道を考えた方がいいに決まっているのに、とそう思っていたから。
「さあねぇ。ただ、ボクはきみが幸せだったら幸せな気がしたから」
微笑みを絶やさずに、エンヴィーはそう言うとソファから立ち上がりエドから離れる。
不意に受けた告白じみた発言に、エドは顔を赤く染め上げていた。
「……っ! そういうこといきなり言うな……っ」
エドがこういう方面の発言がとても苦手なことが分かっていたエンヴィーは、照れている顔を見ると、にっこりと満足げに笑ってみせる。それがエドの羞恥心を煽ることを知っていながら。いや、だからこそ。
自分のことでエドが照れたり動揺したりするのを見るのがエンヴィーにはたまらなく嬉しかった。
「さて、と。じゃあおチビさん、ボクそろそろ帰るよ」
軽く伸びをしながらエドに別れを告げる。そろそろ、ボーイがエドに食事を持って来る時間だ。そうなればアルもエドの部屋に来る。
なかなか長い時間を共に出来ないことは残念であったけれど、それは二人の関係上仕方のないことだった。
気を付けて帰れよ、とエドが言ったのに対して笑顔を向けながら手を振るエンヴィー。
ドアの方へ向かっていたのだが、彼は突然何かを思いだした様に振り返った。
「あ、多分だけどさぁ。その小説のカップル、別れると思うよ」
「……いきなり何だよ?」
「んー何となくねー」
そう言いながら、今度は本当に、とエンヴィーはエドの部屋を後にした。
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