「何、これ?」
 訝しげにその台詞を指差しながらエドに本を見せる。エドは体を起こすと小さく頷いた。
 はあ、と一つ溜め息をつきながら本を閉じてエドの横に座るエンヴィー。
「そんなさぁ、好きとか嫌いとかいうようなものじゃなくない?」
 ごくありふれた台詞の様な気がするし、本当に大切な人に対してだったら誰でも思うのではないのだろうか、とエンヴィーは考えていた。
 今までそれ程強く想った存在は無いから経験則からの回答は出来ないが、想像は出来る。
 人間というのは、みんなそういうものじゃないのだろうか。
「俺は……相手が幸せだから自分も幸せだなんて思えねぇ。そりゃあ、アルが幸せそうにしてたら嬉しいけど、だからって自分自身の幸せを考えねぇことなんてない。何で相手も幸せで自分も幸せになること考えねぇんだよ」
 そのエドの発言に、エンヴィーは少々呆気にとられていた。まさかそんな風なことを言われるとは予想していなかったのだ。
 確かに、大事な存在が幸せだからといって本当に自分が幸せなのかと言われれば、それは誤りかも知れない。仮に、相手が金持ちになって幸せでも、己はそうではないのだから。
 ならば、本当の意味で互いが幸せになる道を探すほうが理想的だ。
 しかしそれが望めないのであれば、例え自分は不幸であっても相手が幸せならいいと考えてしまう。それは感情論だけれど。
「おチビさんの言ってることも理解出来るけどねぇ、やっぱりボクは相手が幸せなら自分も幸せだと思うよ」
 うっすら微笑みながらエンヴィーはそう言う。
 エンヴィーならば自分の意見に賛同してくれる様な気がしていたからか、エドは驚いた様な顔を見せていた。


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