「よし、あったあった」
 エドが足を止めたのは病院の中庭。
 目的地に着いても、エドが外に出てまでしようとすることがエンヴィーには分からなかった。
 すっと手を離すと、エドは真ん中にある噴水の所まで歩いていく。手をひらひらとさせて、こっちに来い、と手招きしながら。
「いったい何なのさ」
「んーとな、両手出せ」
 質問には答えずに、要求だけを突き付けてくるのはフェアじゃない、と思いながらも「はい」と大人しく両手を差し出すエンヴィー。
 ただ出しただけの手をエドは、引っ張って体の中心でお椀の様な形を作らせる。
「良いって言うまで目ぇ瞑ってろよ」
 全く、何なんだ。と強く憤りを感じながらも、素直に従う辺りエンヴィーは強くエドに好意を寄せているのだろう。
 目を瞑ればやって来るのは真っ暗な闇の世界だ。別に恐くなどない。むしろ安らぐ存在。
 ――ただ。ただ、あの優しい光を感じることが無く、少しばかりの淋しいと、そう思うだけ。
 ぼけっと、そんなことを考えていたエンヴィーの手に冷たい感触。
 水だということには気付いても、エドの意図までは分からずにいたら、「もういいぞ」と、声がして目を開いた。
 エンヴィーの眼前には満面の笑みのエド。
「おチビさ……」
「手の中、見てみろよ」
 笑顔のまま、エンヴィーの手の中を指差すエド。言われるままに視線を落として驚いた。


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