真っ黒な世界に浮かぶ、綺麗な綺麗な丸い光。
キラキラ輝く小さな光は、まるで貴方にひかれて集まった様に、貴方を引き立てる為に存在する様で。
どんなに手を伸ばしても、どんなに高く翔んでも、貴方に届くことは決してなく。
それは当たり前。世の中の常なのだから仕方がない。ないのだけれど。
――それでも、と思ってしまうのはボクの我儘だろうか。
昔から欲しくて堪らなかったんだ。だってあまりにも綺麗で、何時でもボクの傍にいてくれたから。
ずっとその優しい光でボクを包んで。あまりにも醜いボクを、その綺麗な光で。
―手の中の満月―
「きみってさぁ、お月さまみたいだよね」
「はぁ?」
真夜中の病院の一室。
エドがベッドの中で本を読んでいると、至極当たり前の様にエンヴィーが窓から入って来た。
最近は毎晩のことだったからエドも驚きはしない。……さすがに初めて来た時には、辺りの迷惑を考えることも無く叫びそうになったが。
敵同士の二人だから、最初は何をしに来たものかと身構えたエドだったが、エンヴィーの行動は自分に対する興味と好意から来るものだと知ってからは特に何をするでもなく。
それこそ聞きたいことは山の様にあったが、笑って躱されるか、決して口を開かないかのどちらかなのだ。どうしようもなかった。
使えないならいらぬと、切り捨てられる程エドは大人でも、冷酷でもない。まして相手は敵とはいえ、人間で、おまけに好意を寄せて来ているのだから。
見かけの割に子供っぽいエンヴィーをエドは子供の相手をする様に、友人と話す時の様に接するようになった。
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